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定期演奏会を鑑賞して

 投稿者:るんるん  投稿日:2015年 7月18日(土)23時01分14秒
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  今年も水沢高等学校音楽部定期演奏会を鑑賞した。
伝統の定演なのだが、今年で56回を数える。
タイムリーなことに、昨夜始まったばかりのテレビドラマが、高校の合唱部をテーマにしていた。
田舎から東京に転校してきた女子生徒が、廃部寸前の合唱部を再生していくというストーリーのようだ。
以前に観た映画「うた魂」も高校合唱部の成長物語だったが、胸を打つ感動の内容であった。
このテレビドラマもまた第一回にして、そんな感動を予感させる展開で、合唱部、音楽部に興味を持つ生徒が全国に大勢現れるのではないかと期待を抱かせてくれた。
その翌日の定期演奏会だった。
昨夜のうちから期待に心が騒ぐ僕がいた。
胸をワクワクさせながら会場に足を運んだ。
そして、演奏会が終わった時には万感胸に迫るものがあり、会場を後にした時には心地良い涼風に吹かれているかのような清々しい気分に浸っていた。
そんな感動冷めやらぬ興奮状態のうちに、鑑賞記を書くとしよう。

今年は顧問の先生が変わった。
予め発表されていたプログラムを見る限り、例年と変わらないようだったが、どんな風になるのだろうと、半分は心配な気持ちで出かけた。
そのステージ構成であるが、とても素晴らしいものだった。
全体は4部構成になっていた。
校歌で幕を開け、オーソドックスなコンクール用のアカペラなどで合唱の本質を静かに丁寧に観客に伝えてくれた。
どれだけ練習を重ねたのか、想像に難くない見事なハーモニーを奏でてくれた。
次の第2部は、OBやOGも一緒に歌う趣向で、所謂合同演奏である。
水沢高校伝統の合唱曲、愛唱歌が次々と披露されるのだが、懐かしい顔ぶれが並び、思わず僕の顔もほころんでしまっていた。
かつてその美声に魅了されたテノールのA君もいて、嬉しかった。
僕がこよなく愛する詩人、三好達治の作品である『鷗』は、毎年歌ってくれる定番だが、これまた僕が大好きな作曲家、木下牧子によるものであり、流麗且つ品格のある合唱は聞くたびに感動を覚える。
そして、何よりも圧倒的な人数の迫力に魅了された。
勇気があれば「ブラボー」と叫びたいほどであった。
休憩を挟んでの後半である。
第3部は、日本の名歌と題して、信長貴富の編曲によるオンパレードだった。
『花』『朧月夜』『浜辺の歌』『赤とんぼ』『ペチカ』という誰もが知る有名な曲ばかりである。
しかし、素敵にアレンジされた合唱曲は、想像をはるかに超えた絶品であった。
この時点で観客全員が美しい響きのある合唱の魅力の虜になっていたに違いない。
第4部は、ポップスステージである。
例年、趣向を凝らしたステージショーが繰り広げられるメインイベントとなっている。
芝居を取り入れたり、振付をしたり、一年生の初々しいスペシャルショーがあったりと、これでもかというほど、てんこ盛りになっていて、そのパフォーマンスを存分に楽しむことができた。
クマムシの『あったかいんだからぁ♪』で愉快に歌ったかと思えば、次は中島みゆきの『糸』でしっとり聞かせてくれるなど、メリハリに富むステージにくぎ付けであった。
プログラムにはない、サプライズなお別れの曲は八神純子の『ミスターブルー』で、荘厳に声高らかに締め括られた。
終わってみれば、昨年までとほぼ同様の構成であった。
顧問が変わっても、伝統はしっかり受け継がれていたのだ。
しかも、確実にレベルは上がったように感じた。
途中に演奏された初のピアノ独奏も新鮮で良かった。

幕が下がったところで、僕は逸早く席を立った。
ステージにいた生徒たちが、観客を見送るために会場出口へ全速力で走って行き並ぶのだが、その走って行く姿を見たかったからだ。
ホール脇の扉を開けたら、まさに怒涛の如く出口に向かって走り抜けていく部員たちの後姿を目撃した。
少し遅れて顧問の先生が小走りで生徒達を追いかけてきた。
僕は思わず声を掛けた。
「先生、素晴らしかったです」
先生は気さくに、こう応えて下さった。
「ありがとうございます」
予め書き上げていたアンケートを提出して、キラッキラの笑顔が眩しい生徒達のいる方に足を進めた。
「ありがとうございました」
目が合った3年生の女子部員、ソプラノのNSさんの溌剌とした声を聞き、気持ち良く会場を後にすることができた。
外は小雨が降っていたが、心の中はほっこりしていた。

振り返れば、僕がこの音楽部の合唱を聴きに足を運んだのは12回目になる。
14年間に12回というのは、毎年合同演奏にお出でになる部員OB、OGの方々に次ぐ回数かも知れない。
何がそうさせるのか。
どんな魅力があるからなのか。
今日の演奏会を観て改めて思ったのは、合唱の楽しさを身体全体で表現する生徒たちの輝く姿を見るのがが好き、という気持ちであった。
そうか!このキラキラ感だ。
みんなが本当に素敵な表情をしていた。
どの顔も歌が、合唱が、大好きで、歌うことが楽しくてしょうがないって言っているように見えた。
だからこそ鑑賞する側に気持ちが伝わり、幸せな気分になってしまうのだ。
「みんな青春しているなぁ」
率直に、そう感じた。
この若さあふれるキラキラしたステージに感動したから、僕は音楽部のファンになったのだ。
そもそも僕が定演に足を運ぶようになったきっかけであるが、三女が音楽部の部員だったことである。
14年前に遡るが、今のような大ホールではなく、中ホールでの演奏だった。
娘の晴れ舞台を観たいと思う親心だったのだが、一回鑑賞しただけで素晴らしいステージに惹きこまれてしまった。
児童コーラスを幼少時から好んで聴いていた僕なので、高校生の合唱が好きになるのは当然の成り行きだった。
結局娘が卒業してからも、こうして足を運んでいるのである。
ずっと鑑賞を続けていると他人様の御子息、御令嬢なのに、まるで我が子や孫のような錯覚に陥る。
一年生から三年生まで成長していく姿、毎年大きくなって上手になっていく姿に目を細めているのだ。
「三年生は最後のステージです」
今日もそんな挨拶があったが、そうした場面には胸が詰まりそうになる。
目頭も熱くなる。
これでお別れだからだ。
三年生がステージで次々に美声を披露する場面は誇らしくもあり寂しくもあり、複雑な想いに揺れるのであった。
来年はOB、OGとしてステージに登場してほしい。

わが娘は大学進学後も混声合唱団に入り学生指揮者になったり卒業ステージではヒロイン的な役を貰って声高らかに歌ったり、大いなる青春を謳歌していた。
水沢高校音楽部の仲間とは、それぞれの進路は別であっても、今でも交流し、最近ではお互いの結婚式に呼んだり呼ばれたりもしている。
そんな絆の深い部活仲間は一生の宝だと思う。
今日のステージを観て、最後に思うのは、この生徒達もやがて大人になり、例え合唱から離れることがあったとしても、結ばれた深い絆は決して切れることなく、永遠に友情は続くであろうということである。
そして、歌や合唱の楽しさを知っているので、一生歌を友達にして生きて行くことだろうと。
 
 
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